はじめに
こんにちは! システム開発一部の田村です。
今回はどのような記事を書こうかと、前回の自分の記事を読み返してみました。
前回の記事では、「マネックス証券に転職して約6年」と書いていたので、現在は転職してはや10年が過ぎたことになります。あの頃、料理スキルを磨いて育児に奮闘していたことも懐かしいですね。
当時はプロジェクトマネージャとして様々な案件に携わっていましたが、現在は、システム開発一部の第一プロダクトグループ長として、グループ全体の管理を行っています。2024年7月に就任したばかりですが、プロジェクトマネージャに専念していた時代とは異なる管理スキルが求められ、責任の重さを実感しています。それでも、活気あるメンバーに支えられながら、グループの推進に力を注いでいます。
今回は、マネックス証券に転職後、数年間携わってきた「口座開設サービス」の変遷について振り返りたいと思います。
2015年頃までの口座開設
2015年頃までは、マネックスの口座開設方法は郵送のみで、ほとんど紙ベースで行われていたため、とても時間がかかるという問題がありました。当時の口座開設にかかる期間はおよそ2週間ほどでした。
2015年ごろまでの口座開設の業務フロー
- お客様がWEBで口座開設を申し込む
- マネックスから口座開設申込書を郵送する(1回目)
- お客様は口座開設申込書に記入・捺印し、本人確認書類のコピーを同封して返送する(2回目)
- マネックスで申込内容を審査し、手書きのデータを見ながらパソコンで登録する
- マネックスからお客様に口座開設の完了通知を郵送する(3回目)
- お客様は完了通知に記載されたログイン情報を参照して、マネックスにログインする
電子化の第一歩
この問題を解決するために、2016年にWEBでの申込方法を追加し、郵送を3回から1回に減らし、口座開設までにかかる期間を2週間から1週間に短縮することができました。
これが口座開設の電子化の第一歩だったと思います。
2016年の口座開設の業務フロー
- お客様がWEBで口座開設を申し込む。本人確認書類の画像データをアップロードする
- マネックスで申込内容を審査し結果をパソコンで登録する
- マネックスからお客様に口座開設の完了通知を郵送する(1回目)
- お客様は完了通知に記載されたログイン情報を参照して、マネックスにログインする
口座開設までにかかる期間を短縮できましたが、まだ以下のような課題が残っていました。加えて、2016年からマイナンバーの提出が義務化されて申込が複雑になりました。
- お客様が本人確認書類の写真を撮影しアップロードする手間が増えた
- 本人確認(※)のために、口座開設申込画面で入力された内容とアップロードされた画像に記載された情報を目検で比較する必要があり、審査にかかる時間が短縮されなかった
- 本人確認(※)を行うため、お客様へ口座開設の完了通知を郵送する業務フローが残った
※本人確認とは
サービスを利用する人が本当に本人であるかを確認する手続きです。
本人確認は犯罪収益移転防止法で義務付けられており、マネックスでは口座開設時等に本人確認を行います。
オンライン完結型の本人確認方法
このような課題がある中で、出てきたのが「犯罪収益移転防止法におけるオンライン完結が可能な本人確認方法」です。マネックスでは2019年頃から「オンラインで完結する本人確認」を導入しました。これにより、口座開設までにかかる期間を1週間から最短1営業日に短縮できました。マネックスで利用できる「オンラインで完結する本人確認」は、具体的には以下のような方法があります。
-
「写真付き本人確認書類の画像」+「容貌の画像」を用いた方法(※)
※犯罪収益移転防止法施行規則(以下「犯収法規則」)
リアルタイムで本人確認ができるようになり、口座開設の完了通知を郵送する必要がなくなりました。
6条1項 1号「ホ」方式
また「顔の撮影」に代わり、銀行への認証方式もあります。(1号「ト」方式) -
「公的個人認証サービスの署名用電子証明書(マイナンバーカードに記録された署名用電子証明書)」を用いた方法(※)
マイナンバーカードをかざすだけで、本人確認が簡単に行え、さらに迅速な口座開設が可能になりました。一番おすすめの方法です!
※犯罪収益移転防止法施行規則(以下「犯収法規則」)
6条1項 1号「ワ」方式
これによって、最終的に口座開設手続きは以下のようになりました。
2019年以降の口座開設の業務フロー
- お客様がWEBで口座開設を申し込む。本人確認書類の画像データをアップロードする。上記のいずれかの方法で本人確認する
- マネックスで申込内容(本人確認の観点以外)を審査し結果をパソコンで登録する
- マネックスからお客様にメールで口座開設の完了を通知する
- お客様は完了通知メールに記載されたログイン情報を参照して、マネックスにログインする
今後の展望
今後、マイナンバーカードの利活用が進むことで、さらに便利なサービスが期待されています。
- 健康保険証を廃止して「マイナ保険証」へ切替
- マイナンバーカードと運転免許証との一体化
- スマホへのマイナンバー搭載機能追加
これらが口座開設に活用できるかどうかも検討していきたいと思います。
口座開設サービスはマネックス証券のサービスの入口です。今後も、より利便性の高いサービスを提供できるよう取り組んでまいります。