近年のモジュールバンドラについて

こんにちは、システム開発一部の橋本です。

前回はT3Stackについて触れてきました。

blog.tech-monex.com

上記記事に関連し、現代のWebアプリケーション開発における欠かせないツールとしてモジュールバンドラが上がると思います。
今回は近年台頭しているモジュールバンドラについて簡単に調べてみたのでそちらをご紹介していきたいと思います。

モジュールバンドルについて

モジュールバンドル(Module bundling)は、Web開発において、JavaScriptモジュールやCSSファイルなどのリソースを、一つのファイルにまとめてバンドル化するプロセスを指します。これは、Webアプリケーションのパフォーマンス向上やファイルの管理を容易にするために使用されます。

モジュールバンドルの経年変化

モジュールバンドラのデファクトスタンダードとして、Webpackは長らく広く利用されてきましたが、課題もいくつかありました。大規模な開発になるほどアプリケーションの肥大化に伴いビルド速度が遅くなったり、Webpackの設定は非常に強力で柔軟ですが初心者や新規参画者にとっては複雑に感じることがあり、設定ファイルが肥大化するリスクが顕在していたり、、
そういった使用に関連するいくつかの課題が浮かび上がり、新しいツールやアプローチが登場しています。

近年台頭しているモジュールバンドラ

上記を踏まえ、近年登場している次世代のモジュールバンドラをご紹介します。

Vite

ja.vitejs.dev

Viteは、高速な開発サーバーとESモジュールを活用することで、JavaScriptモジュール化の課題に対処しており、従来のバンドルツールに比べて迅速な起動とホットリロードを提供し、大規模プロジェクトにおいてもパフォーマンスの向上を実現します。
詳しい内容は以下公式サイトに記載しています。

Vite を使う理由 | Vite

Turbopack

turbo.build


TubopackはNext.jsをリリースしたVercelが開発したモジュールバンドラとなり、もともとはNext.jsでもWebpackを利用しています。
そのうえで、Webpackでの問題点をTurbopackで置き換えることで解消することが狙いで作成されました。
またTurbopackではRustを採用し、Turboエンジンと呼ばれるライブラリを使用して、関数レベルのキャッシングを実現しており、コードの一部だけをコンパイルすることで高速な増分更新を提供します。このアプローチにより、開発時の変更への迅速な対応と、将来の高速な本番ビルドが可能となっております。
詳しい内容は以下公式サイトに記載しています。

Core Concepts – Turbopack

Rspack

www.rspack.dev


RspackはTurbopackと同じRustから作られたモジュールバンドラです。ViteやTurbopackとは異なり、webpackエコシステムとの連携を提供しているため、独自の特徴を備えています。そのうえで高速な開発サイクルを提供しています。
またByteDance社でのパフォーマンス問題を解決するために社内で作成されており、開発サーバーのスタートアップパフォーマンス、高速なビルド、柔軟な設定、本番環境の最適化能力など、さまざまな要件を満たすことを目指しているようです。

優位性について

3つのモジュールバンドラを紹介しましたが、それぞれに異なる優れた点があるため、選択はプロジェクトの要件と優先順位に依存します。

  • Viteは優れた開発者体験と開発時のパフォーマンスを提供し、本番ビルドにはRollupに依存しています。開発スピードとエクスペリエンスに焦点を当てており、これらが重要である場合はViteが適しているでしょう。
  • TurbopackはRustで開発され、Viteと同様に開発時の変更に素早く対応しますが、現在はベータ版であるため、新規プロジェクトでの採用には注意が必要かもしれません。
  • RspackもRustで開発され、Webpackエコシステムと連携して大規模なアプリケーションのビルド時間を短縮し、本番環境での最適化を提供します。既存のWebpackプロジェクトにも適用できるため、パフォーマンスの向上を求めるプロジェクトに価値があるでしょう。

まとめ

モジュールバンドラの進化は、Web開発に新たな可能性を提供し、プロジェクトに合わせた最適な選択肢が増えたことで、開発効率とパフォーマンスを向上させるチャンスが広がっています。是非、プロジェクトの要件に合致するツールを選んで活用してみてください。