デザイン思考を上手に使って次世代基幹システムを考える

こんにちは、GX推進グループの上川です。

エンジニアブログ初登場になります。

4月1日付でシステム部門内で組織変更があり、GX推進グループはそこで新しくできたグループなのですが、このグループのグループ長をやっています。

GXって何?

まあ、まずそう思いますよね。自分もそうでした。

メンバーの中には、わからなくて思わずググってしまった人もいたそうです。

試しにウィキペディアで調べてみると、、

  • ジェネレーションX
  • パシフィック航空のIATA航空会社コード
  • レクサス・GX
  • ヤマハ・GX
  • 遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX

はい、余計な知識がたくさん増えました。

レクサスの普及を推進するために、会社のお金で買ってもらえるとかだったらとってもうれしいですけどね。

GX = GALAXY Transformation

だそうです。

GALAXYとは、マネックスの証券基幹システムの(社内での)愛称ですが、GALAXYとDX(Didital Transformation)をモジって作った造語でした。

組織名にDXを使い始める会社はヤバい(DXをやることが目的になってしまうから)とよく言われていますが、これはただのモジりなのでセーフですね。

つまりGX推進グループとは、GALAXYのTransformationを推進するグループということになります。

GX推進グループのミッション

2017年に証券基幹システムの内製化を果たした当社ですが、このGALAXYもいずれハードウェアのEOSLを迎えたり、アプリケーションの設計が陳腐化してやりたいことがうまくできなくなってくる時期が来るかもしれません。

GALAXYはマネックスが取り扱っているサービスの大半を担っている非常に大きなシステムなので、いずれやってくるであろうその時のために、未来のGALAXYはこうしたい、こうあるべきだ、というのを今から考えて、それを検証していくのがGX推進グループのミッションです。

ミッションはわかったけど、具体的に何をするの? 

単刀直入に言うと、決まっていることはミッションだけです。

具体的に何をするのか、はグループで自ら考え、自ら決め、自ら検証して、結果をだす。与えられた期間は1年間。

細かいことを言うと、安原(システム開発部の担当役員)からこのプロジェクトの中でこういう事を考えてみて欲しい、こういうような結果が欲しいというイメージのようなものは、言葉を変え手段を変え、いろいろな機会で共有してもらってはいますが、あくまで決めるのはGX推進グループのメンバーです。

今は混乱期の真っただ中

チームビルディングの発達段階を説明するタックマンモデルでは、以下の5つの段階でチームの状態を説明しますが、

  1. 形成期・・・メンバーが決まった段階
  2. 混乱期・・・メンバー間の意識がバラバラで同じ方向を向けていない段階
  3. 統一期・・・目的や役割がはっきりして、まとまりが出てくる段階
  4. 機能期・・・チームとして最大のパフォーマンスが出る段階
  5. 散会期・・・お疲れさまでした

GX推進グループは今まさに、2の混乱期の渦中にいます。

4月に作られたグループではあるものの、もともと安原から昨年末くらいにこのプロジェクトの構想は聞いていて、メンバーと少しずつミーティングを重ねていたので、形成期はその間に過ぎ去った感じですね。

どうやって混乱期を乗り越えようか

1年しか与えられていないプロジェクトなので、とにかくスタートダッシュが大事で、できればそのまま加速し続けてゴールを迎えてしまいたいくらいです。

そのためには、早く3の統一期、4の機能期に到達したい。

でも、どんなチームでも混乱期を通らずに機能期には到達できないので、混乱期から逃げずに乗り越えていく必要があります。

混乱期初期は本当に大混乱

ミッションのみを与えられ、あとは自律的に動くことを期待されるチームが相応の成果を出すには、以下のどちらかのリーダーシップが必要です。

 

  • ミッション達成までの道を描き切り、その通りメンバーを動かしていく力
  • メンバーの力を引き出しながら、ミッション達成への道を作っていく力

 

リーダーシップ論で言うと、前者は「支配型」、後者は「支援型」と分類されるものですね。

で、GX推進グループ、というか今の自分はどちらのタイプかと言えば、完全に後者です。

まず、そもそもミッションの内容から言って、安原なり自分が一人で

「これが次世代GALAXYのあるべき姿だ!」

なんて最初から描き切れるはずがありません。思わず文字を大きくしちゃいました。

だいたい、それを今描ける人がいるなら「次世代GALAXYを考える」なんてミッションは必要なくて、その人をトップにして支配型リーダーシップでグイグイ実現していってしまえばいいわけです。あー簡単。

でも、もちろんそんなことはないわけで、自分やメンバーたちはもちろん安原も現時点ではぼんやりとした未来しか見えていないので、必然的に支援型で進めることになります。

よく「支配型」は昔のリーダーシップで、これからのリーダーシップは「支援型」だと説明しているものを見かけますが、どちらがいい悪いというのはなくて、ミッションやメンバーによって使い分ければいいのではないかと思っています。

話が少しそれましたが、ハッキリとしたゴールが見えないミッション、やるべきことが決まっていなくて、チームで自ら考えながら進んでいかなければならないプロジェクトにおいては、ある程度「長い混乱期」を覚悟する必要があります。

昨年末に初めてメンバーを集めて、今回のミッションと、そのミッションに込められている安原の想いが伝えられましたが、「1年間で次世代GALAXYを考える」という言葉から連想する各メンバーの解釈は当然大きく違います。

 

  • 考えたものを1年間で完璧に作らなければならないのか
  • 次世代とは、GALAXYを改善するのか、全く新しく作るのか
  • どこまで本気なのか
  • なぜ1年間なのか、期間と成果はどちらが優先か

 

他にも、今ここには書けませんが、同時に安原から伝えられたいくつかの技術的チャレンジについても、各人各様の捉え方になります。

その後、安原も含めて何度もメンバーで集まってディスカッションを行いますが、メンバーそれぞれがイメージしているゴールと、そこに至るまでに必要だと考えるプロセスが本当にバラバラであることがわかってきました。

とにかく、発散させてから収束させよう

この時点でデザイン思考を意識していたわけでは全然ないのですが、まずはメンバーが考えている、大事だと思うこと、やるべきだと思うこと、やりたいと思っていること、などなど、とにかく全員の頭の中を話してもらうなり、自分が推し量るなりして、可能な限りオープンにして、それからこのメンバーで立つベストなスタート地点に収束させていこうと考えました。

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これですね。

重ねて言いますが、最初からこれを意識してはおらず、与えられたミッションとチームの現状を目の当たりにしたときに、本能的に「1年で期待する成果を出すためには、この作業が必要だ」と直感した感じです。

まだプロジェクトの途中なので、ディスカッションの細部を書くことはできませんが、4月に正式にグループとして組織される頃には、何とか「1年後にたどり着きたいゴールのイメージ」まではかなり共有できた状態でスタートできたと思います。

 統一期に向けて必要なことは?

ゴールイメージが揃ってきたところで、ようやく統一期に向かっていく準備ができたことになります。ゴールイメージができても、そこに向かうまでに必要だと思うプロセスは、やはりメンバー間で少しずつ(ものによっては大きく)違いますし、そもそもどうやって進めたらよいかまだ誰もイメージができないようなテーマもあったりするので、集まって話をするたびに、

「これをやるためには、これを先に決める必要がある」

「いや、今回はそこは重要ではないのではないか」

とか

「このテーマを進めるには、こういうプロセスでやればいいのではないか」

「普通はそうかもしれないが、今回はちょっと違うやり方が必要ではないか」

などなど、わんさか意見の食い違いが出てきます。(あえて具体的なことを伏せているので、とても抽象的表現ですみません)

ただ、混乱期初期とは違って、ゴールイメージはきちんと共有できているので、みんな他メンバーの意見を尊重して、チームが進んでいく道を選択できるようになってきています。この段階では、自分は先に進んでいくために必要なテーマでまだ道筋ができていなそうなものを探し出して、メンバーに投げかける。そして「発散→収束」を経てチームとして進む道を決めていく。

これまた最初から意識してやっていないですが、デザイン思考を知ろうとするとすぐに目に止まる下の図の5つのステップのうち、最初の3つを行ったり来たりしている状態のように思います。 

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まさに、チームで「共感」が尊重されている状態で、自分が「問題定義」を投下する、チームはあらゆる可能性の中から意見を出して進む道を「創造」しています。 

この「問題定義」から「創造」へ行く過程で、今はまだいろいろぶつかり合っていますので、これが収束してきたらいよいよ「混乱期」を脱出して「統一期」へ移行したと言えるのかなと思っています。

早くそこに行きたいっ!

デザイン思考の使い方

なんだか、タイトルで釣っておいて中身はほとんどデザイン思考の話ではない、という三流Webニュースみたいな記事になっていることに、途中から気づいています。

Web上でそんなニュース記事に出会うと「なんだよ、こんな釣り記事読んで損した」って思ったりしますが、実は書いている方は最初から釣り記事を書こうと思って書いているのではなかったりするのではないかな、と今実感しちゃいました。これからは釣り記事に遭遇しても、もっと優しい目で見てあげられるような気がします。

無理矢理結論!

実は何が言いたかったかというと、ここまでこのプロジェクトを進めてきて、自分なりにいろいろ考えながらこの壮大なテーマに立ち向かっているつもりですが、改めてチームビルディングの考え方とかデザイン思考とか、一般的に説明されている理論を眺めてみると、正しく進めていると感じる時は、やっていることが理論と合致するところが結構あるんだな、ということです。

でも、順番を逆にして最初から理論を当てはめて理論通り進めていこうとしていたら、たぶんうまくいかないような気もしています。今回こうやって記事を書くにあたってここまでやってきたことと理論をぶつけていくと、「ああ、ここでこう考えていたことは理論的に説明するとこういうことか」と納得できる部分が多々ありますが、じゃあこの理論を最初から意識していたら、同じ行動をしようという答えに行きついたかと言ったら、いやそれはなかなか難しいぞ、と思うので。

理論は銀の弾丸ではない

つまりそういうことです。

何かを解決しようとするとき、デザイン思考に限らないですが、ただ理論通りに当てはめていっても、それだけでは期待する結果はおそらく得られにくく、途中で違う方向に進んでいってしまいがち。そして、気づいたら理論を当てはめることが目的になっていってしまったりもする。最初の方で「組織名にDXを使い始める会社はヤバい」という話がありましたが、その理由もまさにそういうことでしょう。

マネックスでは過去発生した障害の中から、定期的に1つピックアップして「なぜなぜ分析」というのをやっていますが、これもフォーマットに当てはめて分析していくと、うまい具合に本質にたどり着けるものもあれば、やっているうちになんとなく「分析すること」が目的にすり替わってしまっている感が出てくるものがあったりするので、これもきっと同じことですね。

理論やベストプラクティスのようなものは、たくさん知っていた方がいいのは間違いないと思いますが、最初からそれを当てはめてその通りに進めていこうとすると、途中で道を間違ってしまうことがあるので、自分やチームが正しい方向に進んでいるかどうかを常に気にしながら、理論はそれを助けてくれるもの、そして裏付けて自分に自信をつけてくれるもの、というくらいに考えて使うのがいいのではないか、というのが自分の感覚です。特に目新しい結論ではないですが、現在進行形で改めて実感しているんだね、と思っていただけたら、です。

最後に

はい、ここまでやたらと文章ばかりの記事にお付き合いいただきありがとうございました。

なにぶん、まだ始まったばかりのプロジェクトなもので、どこまで種明かししてしまおうか迷うところがあり、とても抽象的でわかりづらい表現になってしまっている部分が多くて大変申し訳ありません。

マネックスの中では、今そんなことを考えているグループがあるんだな、というくらいな温かい目で見守っていていただけたらうれしいです。

そして、1年後に無事この記事のアンサーソング(使い方が違う。。)を書けることを切に願っております。ほんとに、マジで。

その時は、あの時こう書いたのは、実はこういうことだったんですよ!みたいに、大々的にぶっちゃけてしまおうと思います。ああ、早くそんな記事が書ける日が来てほしい。

えっ、1年間も待っていたら忘れてしまうって?

そういう方は、ぜひ

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大事なことなので大きくしておきました。

ただいまマネックスではあらゆるタイプのエンジニア職を募集しておりますので、きっとアナタのスキルが活かせる職種があるはずです。

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上川 和樹システム開発部 副部長 GX推進グループ長