こんにちは、開発本部長の安原です。
3月になりましたので、今期を振り返り、今後のことを考えてみたいと思います。
今期の取組の一つに、証券基幹システムを自分たちの手でクラウド化できるか検証するというものがありました。
Gartnerの亦賀氏曰く、クラウドこそ「自分で運転すべき」(= ベンダー任せにしない)と言い、 現代のおとぎ話として次のような例を挙げています。
・このエグゼクティブは「自分で運転しないことに決めた」
・いつまでたっても目的地に着かない
・ふと見ると、外で縄を引っ張っている人たちが10人
・「何故運転しないのか」を聞いた
・「そりゃ、10人月が数十分になれば、 もうからなくなるからね」
・。。。
( 亦賀氏 2020年セミナー資料より引用)
また、亦賀氏は、クラウドネイティブな技術、 例えばKubernetesを使いこなせるようになるには3年か かると言っています。
本当にそうなのでしょうか。
実際に6名のグループを4月に組織し開発を進めてきましたので、「自分たちで出来るか」と「3年かかるか」について評価してみました。
結果として、PoCとしては期待していたものが出来上がりました。事前に想像していた通りには進まず、貴重な気付きがいくつかありましたが、「社員で実現可能」であり、「既存システムよりもコストのかからないものができる」見込みが立ちました。また、クラウドネイティブな技術が操れるようになるまでの期間は、証券基幹システムにおいては2年程度なのでは、と感じています。
さて、この先実際のプロジェクトとしてクラウドネイティブなシステムを構築し ていくことになりますが、成功の鍵は「 スタイル・チェンジ」出来るかどうかだと思います。
1.システムの作り方のスタイル・チェンジ
- 割り切る、要件ファーストをやめる
- 極力作らない、あるサービスを「利用する」
- 大きなコスト削減を狙う(50%以上)
2.インフラのスタイル・チェンジ
- 「完璧」から「継続的改善」に
- よりスケーラブルに
- 変化対応型に(コンテナ、CI/CD、DevOps)
3.エンジニアのスタイル・チェンジ
- 作業者からクリエーターへ
- 自分で運転(テクノロジーを駆使)
- ハイスキル/ハイリターン
- 変化を楽しむ
4.ビジネスのスタイル・チェンジ
- 新しいビジネス・アーキテクチャーをベースに
- テクノロジ&データ駆動型ビジネス
- 業務ファーストからPeople-Centricへ
5.組織のスタイル・チェンジ
- 学習する組織、COE
( 亦賀氏 2020年セミナー資料より引用)
我々が今から取り組むことは、前例のないことです。
一方で、当社には長年の経験によって積み重ねられたノウハウがあります。
実際のビジネスとして過度なリスクはとれません。しかしながら、過去からの学びにとらわれすぎて、今後の構築するシステムが、今とあまり変わらないものになってしまったら失敗といえると思います。
どんなに素晴らしいシステムを構築するかは自分たち次第。慎重かつアグレッシブに取り組んでいきたいと思います。