なぜ内製化なのですか?アウトソースの方が良いのでは?という質問をよく受けます。
大手ユーザー系システムベンダーのシステムを利用しサービスを提供していましたが、5年以上の歳月を経て、2017年1月より自社の新システムに移行しました。
開発期間中、社員は主にプロジェクトマネジメントに従事しベンダーが開発を担当しました。ローンチ以降、社員が中心となり開発できる体制を構築しようと内製体制強化プランを立案。本年はその3年目にあたります。
1.自由に速く開発したい
世の中の変化のペースがずいぶん速くなりました。
急に開発しなければならない案件の割り込み、急な要件の変更やスケジュールの変更、どれもビジネスの競争に勝つために必要なことです。
しかしながらシステム開発ベンダーにはリスクをとれない事情があり、その変化に柔軟に対応できません。業務委託契約を結び開発を委託/受託しているわけですから、それほど自由が利かないのです。
社員のエンジニアであれば、ビジネスのニーズの変化に併せて柔軟にアサインの変更ができます。
2.ノウハウの社外流出を防ぎたい
システムベンダーにはシステムにも業務にも精通したプロフェッショナルが大勢います。しかし、優秀なエンジニアは引く手あまたなので、システムベンダーにとって重要な開発案件があると、エースはそのプロジェクトに異動になってしまいます。やっと戦力になった若手のエンジニアが異動してしまうこともしばしば。ノウハウが外に流出してしまうことは非常にもったいないことです。
一方、社員が開発すれば、経験もノウハウも社内に残ります。業界のルール以外にその会社特有のノウハウってありますよね。
3.新しいアイデアを秘密にしておきたい
システム開発プロジェクトの中には、制度変更対応のように業界全体が同じ要件を実装するタイプのものがあれば、日本初となるサービスを極秘裏に進めるようなケースもあります。
近年、テクノロジーが進歩し、従来のサービスの延長線上にない新しいサービスを生み出すことがますます求められています。
世の中にないサービスを生み出すとき、情報を外部に漏らさないよう気を遣います。秘密保持契約があっても心配なものです。
当社ではビジネス部門とシステム部門が一緒にサービスを検討したりしますが、全員社員であれば遠慮なく意見交換ができ、そこからさらに新しいアイデアが生まれる、ということも期待できます。
4.システム関連コストを抑えたい
エンジニアの皆さんの中には、自身の1か月の開発活動をコストに換算するといくらになるか気にしていない人も多いと思います。実際のところ、銀行口座に振り込まれる給料の額と比べるとずいぶん高くなっています。
当社の場合、システム開発にかかるコストの標準モデルは次のとおりザックリこんな感じです。
(1)月給(額面)50万円
(2)残業代10万円
(3)社会保険等、会社が従業員に負担する費用9万円
(4)通勤定期代 1万円
(5)一人あたりのスペースの家賃 5.5万円
(6)一人あたりの不動産管理費 0.2万円
(7)一人あたりの水道光熱費 0.6万円
1か月あたりのコストは合計77.3万円となります。
一方、同じ給与のエンジニアがシステム開発会社に勤めているとしましょう。
その会社がシステム開発だけで収益を得ているとします。
会社は黒字にならないといけないので、上記の当社のケースと比較すると、間接部門のコストと営業利益分のコストが追加でかかってきます。
(a)営業や総務その他エンジニア以外の従業員に支払う給料
(b)営業や総務その他エンジニア以外が使っている不動産費、光熱費
(c)営業利益
この通り、自社のエンジニアは自社のシステム/サービスに精通し、詳しいコストも(a)(b)(c)の分、割安となり、いいことづくめです。
あとは、良いエンジニアと出会い、当社の魅力を伝え、開発現場がよりやりがいのある環境になるよう努力を続けていきます。
開発本部長 安原