証券システムを効率的に理解するために

こんにちは。開発本部の東島です。

アプリケーション開発・保守を担当しています。

私は証券システム開発を長くやっていますが、最初はシステムの内容を理解するのに非常に苦労しました。

・用語がよく分からない
・何のためにある機能なのかよく分からない
・システムの全体フローが分からない
など、最初の頃は本当に分からないことだらけで悪戦苦闘していたことを昨日の事のように覚えてます。

それでも継続的に証券システム開発をやっているとなんとなく知識の点が徐々に揃っていき、その点が線になっていくことでシステムの全体感が分かっていくようになります。

結果的に「線」になるまでに長い時間がかかってしまったのですが、この「点を揃えて線にしていく」プロセスを効率的にできる方法はなかったものかと考えることがままあります。

そこで、今振り返ってみて最初にやっておけばよかったと思う取り組みをご紹介をしたいと思います。

取組のご紹介① ~会社法を理解する~

会社法とは、会社の種類(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社)や、会社の設立・運営・清算などのルール・手続を定める法律です。

会社法自体が耳慣れない単語かもしれませんし、証券システムの理解とどう関係しているんだ?と思われるかもしれませんが、会社法には株式会社に関する以下のような事項が記載されています。

・株主はどのような権利が付与されるのか(配当を受ける権利など)
・会社は誰に対して権利を付与するのか(1日でも株式を保有すれば権利が獲得できるのか?)
・会社はどのようにして資金調達を行うのか(IPO・PO、新株予約権、社債など)

このような権利の付与や資金調達を実現するための機能が証券システムには組み込まれています。
よって会社法の内容を理解しておくと、こういった機能の目的・内容が理解しやすくなります。

会社法の内容を理解する、と書いてしまうと「法律を読むのか・・大変そうだな。。」と思ってしまいますよね。

効率的に理解するためには、会社法を分かりやすくかみ砕いて説明している入門書を読んでみるのもいいかもしれません。

こういった入門書は法律ビギナー向けに全体が整理され、読みやすく書かれているので、証券制度・システムを理解したいと思う方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。

※書籍例
「基礎から学べる会社法」 弘文堂

取組のご紹介② ~決済の仕組みを理解する~

証券システムには様々なサービスがありますが、その中でも証券を売買する機能は非常に重要です。

証券を売買する機能とは、「モノ(証券)」と「カネ(現金)」を交換する(=決済する)プラットフォームと携えることができます。当然、証券システムには決済を行うために必要な機能も備えていますので、決済の仕組みを理解しておくとシステム理解度の向上に寄与します。

では「モノ(証券)」と「カネ(現金)」は実際にどのように決済されているのでしょうか。

一例として株式取引の決済を取り上げてみます。

株式取引の決済

株式取引には証券の買い手と売り手が存在し、それぞれ以下のようなアクションを行います。
買い手 → お金を払って株式を受け取る
売り手 → 株式を渡してお金を受け取る

これは取引者(買い手・売り手)視点で見たアクションですが、決済する対象(モノ・カネ)に視点を変えてみると、
株式の決済 → 株式を売り手から買い手に渡す
お金の決済 → お金を買い手から売り手に渡す
と言い換えることができます。

つまり、株式取引には「株式」と「お金」の2つの決済が発生しています。

では「株式」と「お金」は実際にどこで受け渡されるのでしょうか。

モノ(証券)の決済

上場株式の決済は「証券保管振替機構」を通して行います。

カネ(現金)の決済

一方、カネの決済は銀行口座を通して行います。

(出典:日本証券クリアリング機構)

上図の一番下「決済機関」のパートが決済を行うプロセスです。

真ん中の「清算機関」のパートはどういうプロセスなのか?また、証券保管振替機構や銀行の決済システムの仕組みは具体的にどうなっているのか?をより掘り下げて調べていくと理解度が深まって面白いかもしれません。

証券システムはこのような制度に基づいて設計されているため、制度を理解しておくとシステム理解度の向上につながります。

取組のご紹介③ ~実際にサービスを使ってみる~

やはり「体験」に勝る手段はないかもしれませんね。

実際に証券口座を開設し、サービスを使ってみるとサービスの内容をより早く理解することができます。

最後に

当社では内製化を推進しており、新しい技術を採用したプロジェクトも増えてきています。

また、NTTドコモとの資本業務提携により、新サービスの開発も進めています。

info.monex.co.jp

エンジニアも積極的に採用していますので、ユーザ企業で自社システム開発をやりたいという方はぜひ当社の採用サイトをのぞいてみてはいかがでしょうか。

www.monexgroup.jp