システム開発部、企画設計グループのNです。
企画設計グループでは各システム対応案件の推進を行っています。
その名のとおり、企画や設計(いわゆる要件定義や外部設計)を自ら行うこともありますが、どういった案件を対応するかについてはいわゆるユーザ部門からの要望をもとに優先順位等を考慮して決定されます。
もちろん新規サービスの導入や機能改善などプロアクティブに取り組む案件もありますが、一方でやむを得ず対応しなくてはいけないのが「制度案件」です。
今回は直近の基幹システムで対応してきた「制度案件」をご紹介したいと思います。
「制度案件」とは
一般的な業界用語というわけではなく、自社内のローカル用語だと思っていますが、法律の改正等にともない、証券業務を継続していくために必ず対応しないといけないシステム対応案件のことを指します。
「制度案件」の概要とシステム対応事例
「制度」と一言で言っても、証券システムに影響を与える制度は様々です。
直近1年で対応した制度案件の事例の一部を簡単にご紹介します。
- 証券業務の制度変更によるもの
⇒NISAロールオーバー、株式等の決済期間短縮化
- 税制改正によるもの
⇒消費税率変更
- その他法改正によるもの
⇒元号改定
NISAロールオーバー
従来NISA制度における非課税期間は5年で満了する予定でしたが、2018年末より、保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移すことができるようになりました。
これを受けて、顧客の依頼に応じて自動で課税口座に払い出す、もしくは翌年にロールオーバーするシステム改修対応を行いました。
<参考>
ロールオーバー(非課税期間満了時の取扱い) | NISA(ニーサ) │ マネックス証券
株式等の決済期間短縮化
従来上場有価証券(株式やETFなど)は取引日から起算して4営業日目に受渡しされていましたが、2019/7/16より取引日から起算して3営業日目(取引日から受渡日までの期間が1日短縮)に変更されました。
これを受けて、約定日から受け渡し日までの期間の変更およびそれに伴う関連機能の修正対応を行いました。
<参考>
http://www.jsda.or.jp/shijyo/minasama/content/leaflet.pdf
消費税率変更、元号改定
これらの制度変更は証券業務だけでなくみなさん共通かと思いますが、2019/10/1より消費税率が10%に、2019/5/1より元号が令和に変更されました。
これを受けて、消費税については、売買手数料、有料情報などの消費税率の変更対応を、元号は各種帳票に出力されていますのでその変更対応を行いました。
「制度案件」の特徴
- 「制度案件」の特徴
⇒ 新制度の施行日は法律等で決まっているため、期限内でのシステムリリースは自ずと必達となります。
開発終盤やリリース時に問題が発生しても、リリースせざるを得ないという難しさがあります。
- 制度詳細に未確定な部分が多い
⇒ システム化にあたり詳細なパターンを整理していくと、新制度を調べても判断できない部分が出てきます。
そういう場合は、日本証券業協会や国税庁に問い合わせを行い、あるべき仕様の回答を期待するのですが、
なかなか回答をもらえなかったり、回答をもらっても期待した内容でなかったりと仕様を確定させるのに時間がかかります。